妊娠すると、子どもを授かった喜びでいっぱいだと思いますが、それと同時に考えなければならないことも増えますよね。
家族や会社への報告はどうするのか?病院はどこにしようか?出産方法は?里帰りは?などなど…。なかでも漠然とした不安は「お金のこと」かもしれません。
しかし、会社員には「妊娠出産でもらえるお金」が実はいろいろあるんです。
ただし、「もらえるお金」の中には申請しないともらえないものも多いです。会社がやってくれるケースもありますが、まずは自分で知っておくことがいちばんの安心につながりますよ。
この記事では、「会社員が妊娠出産でもらえるお金」について詳しく解説します。
1. 妊婦検診費

まず抑えておきたいのが妊婦健康診査の助成金です。
現金での支給ではありませんが、妊婦の経済的な負担を減らすために14回分の妊婦健診代が補助されます。妊婦健診は、1回につき5,000円から1万円以上かかることもあるのでありがたい制度ですね。
対象:妊婦さん全員
- 母子手帳発行時に補助金として冊子を配布されます
- 申請した自治体で発行されますが、県外の産院へ移った場合などは後から申請すると残数に応じて還ってきます
- 引越したときは残数に応じて補助券をその自治体のものと交換してくれます
妊婦健診は「通院休暇」が取れます!
あまり知られてない制度かもしれません。
妊娠すると定期的に妊婦健診に行くことになりますが、男女雇用機会均等法で会社は妊婦の通院時間を確保をするよう義務づけられています。つまり、
妊婦健診の日は有休や半休ではなく、実は「通院休暇」が利用できるんです。
会社の就業規則に記載されていなくても、申請すると病院へ行く時間を取ることができるようになっています。あるいは「通院休暇」という名称ではなく、「傷病休暇」で代用している会社もあるのでわからなければ会社に確認してみましょう。
2. 高額療養費制度
高額療養費制度とは、医療的なケアが必要で医療費が高額になった場合に、1ヵ月の自己負担額を一定額まで減らしてもらえる制度です。
ちなみに、妊娠出産に限らず、健康保険に加入している会社員であれば入院などが必要になったとき利用できます。
妊娠中の切迫早産などで治療のためにかかる費用に関しては健康保険が適用され、高額療養費の対象になります。
対象:会社員 ※要申請
- 自己負担の上限額は年収によって変わります
- 自己負担額は他の病院の費用など複数の医療機関を合算、また家族の医療費も合算できます。
- 支給されるには2年以内に申請が必要です
- あらかじめ事前申請もできます
3. 傷病手当金

妊娠中はつわりで体調を崩したり、切迫早産など、産休前に会社を休まざるをえないときもあります。そんなときに利用できるのが傷病手当金です。
対象:会社員 ※要申請
- 業務外の病気やけがで仕事ができないとき
- 給与の支払いがないとき
- 3日観連続して仕事を休み、4日目以降にも休んだ日があるとき
4. 産前産後休業中の保険料免除制度
現金がもらえる制度ではありませんが、支払う社会保険料が免除されるので、実質「もらえるお金」として紹介させていただきます。
対象:会社員 ※要申請
・産前産後休業中の健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されます
・事業主からの申請が必要です
・本来、この保険料は会社と半々で支払っているがどちらも免除されます
5. 出産育児一時金
出産育児一時金は、専業主婦の方やフリーランスの方には適用されない制度です。会社員をやっていてよかったと思える制度ですね。
対象:会社員で健康保険に1年以上加入している人 ※要申請
- 子ども1人あたり42万円が支給されます。
- 産院によっては「直接支払い制度」が使えるので、出産時の退院清算で42万円をこえる差額を払うだけになります(経験あり)
- 「直接支払制度」を使えない病院に入院していたり、利用を忘れたりしたときは、出産後に申請することもできます
6. 出産手当金
「出産手当金」とは、出産のために仕事を休み、給料が支給されない場合は、出産前の42日間、出産後の56日間のうち仕事を休んだ日数分が出産手当金として支給される制度です。こちらも専業主婦やフリーランスの方には適用されません。
対象:会社員 ※要申請
- 標準報酬日額の3分の2がもらえます
※標準報酬日額は、支給開始以前の12ヶ月の各月の標準報酬月額を合算して平均した額です - 会社を通じて申請します(事業主記入欄があるため)
7. 育児休業給付金
出産後に支給されるのが育児休業給付金です。
対象:会社員(ママだけでなく、パパが育休をとる場合でも受け取れます)
条件:休業開始日前2年間に雇用保険に1年以上加入していること
- 子どもの1歳の誕生日前日までに育児休業を取得した日数分もらえます
- スタートから180日までの間は休業開始時賃金日額(※)×67%の給付金もらえます
- 育児休業から181日目以降は休業開始時賃金日額×50%の給付金がもらえます
- 保育園の入所待ち等、やむを得ない事情がある場合、受給期間を2歳まで延長することができます
育児休業給付金はその人のお給料の金額に応じて支給額が決定するため、受け取れる金額はそれぞれに違います。
8. 医療費控除
「妊娠出産でもらえるお金」としてますが、正確には、妊娠出産でかかった医療費を翌年に確定申告し、払い過ぎた所得税の一部が戻ってくるというものです。
切迫早産などで入院を長くした、帝王切開など手術をした方は医療費控除を受けられる可能性が高いのでぜひチェックしてみてください。
対象:同一生計の医療費が一定額を超えたとき ※確定申告が必要
- 産休育休に入った年(1/1-12/31の間)の医療費の合計が10万円をこえたとき
- 保険や手当で支給された分はカウントされません
- 会社員でも医療費控除を受けるには確定申告が必要です
- 医療費分が所得から引かれて所得税が安くなります
残念ながら、里帰り出産の交通費は対象外…
まとめ:もらえるお金は必ず申請しよう

以上、会社員が妊娠出産でもらえるお金を解説しました。
- 妊婦検診費 ☜検診時は「通院休暇」を使おう
- 高額療養費制度
- 傷病手当金
- 産前産後休業中の保険料免除制度
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 医療費控除
なかには、医療費控除など手続きが面倒に感じるものもありますが、育休中だからこそじっくり取り組めるものでもあります。
もらえるお金はしっかり申請して逃さないようにしましょう!